カード会社から毎月送られてくる請求書。
普段あまりチェックしない人が久しぶりに内容をチェックしてみると、
「いつもはほとんど見ないけど、たまたまチェックしてみたら全然身におぼえのない先から不正請求されていた!!」
なんてことが起きてしまう場合があるかもしれませんが、そんな時は一度落ち着いて考え直してみましょう。
ひょっとしたらそれは、不正請求ではなく「収納代行」による請求かもしれませんよ。
今回はクレジットカードの請求の中に入っているかもしれない「収納代行」について、徹底解説していきます。
クレジットカード会社から知らない請求がきた!!
クレジットカードの請求書を確認し、見たこともない先からの請求があれば不正請求かもしれません。
不正請求であればできるだけすみやかにカード会社に連絡しなければなりません。
ですがその前に、まず落ち着いてひと呼吸おいてみましょう。
「不正請求をされてしまった!」と冷や汗をかいた場合でも、実際に9割近くは単なる勘違いでしょう。
勘違いその1.家族カードの利用分だった
家族会員がカード利用したものを本会員の利用分と見間違えてしまった場合におこる勘違いです。
カードの請求先に身に覚えがないのも当然です。
とくに上京している子供や遠方に住んでいる親に持たせた家族カードであれば、いつどんなものに使ったのかわかりません。
本会員への請求なのか、家族会員への請求なのかをもう一度落ち着いて確認してみましょう。
勘違いその2.前月の処理が遅れてやってきた
カードを利用した代金の請求は、必ずその月の請求に来るわけではありません。
利用店舗の処理方法や締日などにより、カード会社の締日とのズレが生じるため、請求が1ヶ月後にズレてしまう場合があります。
とくに月初に利用したのに締日がズレてしまうと、カードを利用して2ヶ月近くたってから請求がやって来ます。
日々カードを利用していれば、2ヶ月前一体何の支払いにカードを利用したかなど忘れてしまっていても不思議ではありません。
勘違いその3.利用金額と請求金額がちがっている
海外の商品をネットで購入したりPaypalなどを利用して決済すると、カード利用時はドル建てでの支払いになります。
そのため円建てでの請求金額は、実際にカードの請求書が届くまでは正確にわからない場合があります。
自分でその日の為替レートから請求金額を計算しても、カード会社の為替手数料が加算されるまで正確な金額はわかりません。
勘違いその4.請求名称がちがっている
屋号と法人名は違います。
たとえばBarなどの支払いをクレジットカードで決済すると、カードの請求書には「有限会社〇〇」と書かれている場合があります。
商売は屋号をあげて行っている場合でも、クレジットカード会社との契約は法人名義で行っているケースがあります。
この場合請求書を確認するとまったく身に覚えがない会社名であったとしても、間違いなくカードで決済したBarでの飲み代の請求なのです。
勘違いその5.収納代行会社が代金の決済をしていた
店舗と顧客の間のカード決済を、収納代行会社が行っている場合があります。
有名なところでは、クロネコヤマトの決済サービス「クロネコwebコレクト」などがそうです。
カードを利用した店舗からの請求ではなくクロネコwebコレクトからの請求になるため焦りますが、間違いなく店舗で利用した代金の請求です。
収納代行会社を利用している店舗はかなり多い
不正請求と勘違いしやすい5つの例をご紹介しましたが、この中で不正請求と勘違いしてしまうのがもっとも多いのが5番目の収納代行会社の例。
収納代行会社についての詳しい説明は次章で行いますが、収納代行会社は店舗とクレジットカード会社の間に立って書類のやり取りや処理、代金回収などを行っています。
都市部はもちろんのこと、カードの利用環境が整っていない郊外の店舗や離島などの物産販売などで利用者数を伸ばしています。
収納代行会社とは
収納代行会社の説明をする前に、まずは以下の文章をご覧ください。
Yahoo知恵袋に寄せられた相談のひとつです。
ID非公開さん 2013/6/2121:51:22
クレジットカードに「AXES 0570-05-3636利用国NL」から毎月525円請求がありますが請求先の検討がつかず困惑しています。
もしおわかりになる方がおられましたら教えてください。
クレジットカードに「AXES 0570-05-3636利用国NL」から毎月525円請求があります。
気ままでたいして気に留めていなかったのですが 考えても請求先と利用したサービスの検討がつかず、困惑しています。
カードは楽天のものですが、この場合楽天に問い合せたら 請求会社の詳細につながるものを教えてくれるのでしょうか?
同じような経験をされた方、お分かりにになる方がおられましたら 教えていただけましたら幸いです。 よろしくお願いいたします。
引用元:Yahoo知恵袋
これと同じような相談内容は、Yahoo知恵袋の中だけでも複数見つけることができます。
アヤシイ請求の正体とは?
クレジットカードの請求書に書かれているこの「AXES 0570-05-3636利用国NL」は、決してあやしい不正請求ではありません。
「AXES」とはAXES Payment社の略称です。
SBI(ソフトバンク・インベストメント)社のグループ会社の一員。
次に続く電話番号がその連絡先です。
AXES Payment社は収納代行サービスを行っている会社です。
収納代行サービスとは?
店舗とクレジットカード会社の間に立ってクレジットカード決済、電子マネー決済などの決済をオンライン上で一括で行えるシステムを提供しているサービスをいいます。
「決済代行」や「集金代行」ともいいます。
先ほどご紹介したYahoo知恵袋の相談者は、AXES Payment社が収納代行業を行っている店舗で買い物をしたはずです。
そして、その請求がカード会社を経由して相談者の元へ届いた、という流れだったのでしょう。
「アルファベット」+「電話番号」の組み合わせでの請求は、収納代行会社からの請求である可能性が高いです。
収納代行会社のはたらき
収納代行会社は、クレジットカード決済などを導入したい会社とクレジットカード会社等の間に立って、カード決済サービスを提供しています。
店側としては、出来るだけ多くの種類のクレジットカードを決済することができる決済システムを導入することで顧客の取りこぼしをなくしたいと考えます。
しかしすべてのクレジットカードの加盟店になると、それぞれの管理や手間が大変です。
おまけにカードによって締日や入金日もことなるため、資金繰りも悪化してしまいます。
「できるだけ多くのカードで決済できるようにしたい」
「でも手間やひまはかけられないし、資金繰りが悪化するのも困る」
この二つを解消するために、店舗とカード会社の間に入っているのが収納代行会社なのです。
もし収納代行会社がなかったら
もし収納代行会社がなかったら、各クレジットカード会社とそれぞれ直接契約を結ばなければカード決済はできません。
おまけにクレジットカード情報を取り扱うためには、高度なセキュリティシステムを構築しなければなりません。
それらを維持管理するためには、莫大な時間やコストが必要となるため、カード決済ができる店舗はごく一部に限られてしまうでしょう。
意外と聞いたことがあるかも!?実はあそこも収納代行会社
「収納代行会社」という言葉には耳馴染みがなくても、意外と聞いたことのある会社が実は収納代行会社だったりします。
たとえば以下の会社が収納代行業務(もしくはそれに類似したもの)を行っています。
ヤマトクレジットファイナンス
宅急便で有名なクロネコヤマト。
もともと着払いなどの業務を行っていましたが、今では内容を拡大し、収納代行業務も行っています。
面倒な請求関連の業務を一任できるうえ、売掛金を保証してくれる「クロネコ掛け払い」のサービスなどが有名です。
Square(スクエア)
スマホやタブレットなどのマルチデバイスに対応しており、カードリーダーとアプリさえあればどこでもカード決済を受けることができます。
最短で翌日には入金されるので、入金サイクルを早く回すことが可能です。
Paypal(ペイパル)
個人的に利用している方も多いPaypalですが、実は収納代行業務も行っています。
業界最高レベルの堅牢なセキュリティシステムが有名です。
決済システムを導入するためのアカウント登録からサービスの開始まですべてをオンライン上で完結することができるため、大変便利です。
そのため世界中で利用されています。
LINE Pay(ラインペイ)
みんさんご存知のLINEが行っている決済サービス「LINE Pay」です。
LINE PayはLINE上で行う決済手段で、料金支払時にLINE Payのパスワードを入力するだけで簡単に決済することができます。
また月額100万円までは決済手数料が無料なので、事業を立ち上げたばかりで売り上げの安定しない会社などにはとくに好評です。
収納代行のメリット
収納代行会社を間にはさむことにより、顧客はもちろんのこと店舗も、収納代行会社にもメリットが発生します。それらをもう少し深く掘り下げてみましょう。
利用者のメリット
収納代行会社は多くの種類のクレジットカード決済に対応しています。
そのため利用者がどのようなカードを店側に提示したとしても、ほぼすべてのクレジットカードで決済することが可能です。
どのカードが使えるのかを気にすることなく利用できますし、高額な支払をする場合でもいちいち現金を持ち歩かなくてもよいため、安心できます。
店側のメリット
利用できるカードの種類が限られている場合、それ以外のカードを利用している利用者を取りこぼす可能性があります。
収納代行が間に入っているとそのような機会損失はおこりません。
またクレジットカード会社と直接契約を結ぶわけではないため、自力で高度なセキュリティシステムを導入する必要もありません。
書類の処理や手間の煩雑さから解放されます。
収納代行業者のメリット
店舗と利用者の間に立つことにより、手数料収入を得ることができます。
店舗側に一度導入してもらいさえすれば、長期的・安定的に収入を得ることができます。
収納代行のデメリット
では次に、収納代行のデメリットについてです。
利用者のデメリット
店舗との間に収納代行業者が入ると、その手数料は最終的に店舗で取り扱う商品の価格に転嫁されることが考えられます。
そのため、利用者が支払う商品の金額が高くなってしまう可能性があります。
※直接的に決済手数料を利用者が支払うことはありません。
店側のデメリット
収納代行業者に対して手数料を支払わなければならないため、コストアップによる価格上昇をせざるを得ない場合があります。
それでもどこからの請求かわからない場合
クレジットカード会社からの請求の中に知らない先が入ってビックリ。あれこれ可能性を考えて調べてみたけどやっぱりわからない。
こんな場合には次のことを試してみましょう。
請求金額をメール検索してみよう
何の請求なのかわからないものがある場合、その金額をメール検索にかけてみましょう。
ネット通販を利用した買い物は、ほとんどの場合メールで注文内容の案内メールが送られてきます。
請求先が不明のものでも、ネットを利用した買い物であれば、請求金額をメール検索にかければヒットする可能性が高いです。
クレジットカードの明細に書かれている番号に電話してみよう
収納代行業者からの請求の場合、クレジットカードの明細に電話番号が書かれていることがあります。
電話番号を検索エンジンにかけると何かしらの情報が得られます。
怪しい番号でないことを確認したら問い合わせてみましょう。
カード会社に連絡してみよう
それでもわからない場合は、カード会社に電話してみましょう。
カード会社に電話しても何に対する請求なのかはわかりませんが、不正請求をされている可能性もあるため、とりあえず連絡しておかなければなりません。
自分の利用だったというケースも多いです。
まとめ
クレジットカード会社からの請求書にまったく見覚えのない先からの請求があると、本当にビックリします。
ただし大抵の場合は収納代行会社からの請求であることがほとんどです。
収納代行会社は私たちの生活と大変深くかかわっており、そのお蔭でクレジットカードの利便性を享受することができています。
ただし身に覚えのない請求のすべてが、収納代行会社というわけではありません。
本当に不正請求である可能性もあるため、万が一の場合には適切に対処し、また日々の生活の中でも不正請求を防ぐための注意はし続けなくてはなりません。
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